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就職・転職を考えている人へ

2024年4月更新

作成協力:ぷれいす東京

HIV陽性であることがわかった後に、仕事は続けられるのか?今の職場でどのように過ごしたらいいのか?また、新しい仕事を探すときにはどうしたらいいのか?等の疑問点が浮かんでくることがあります。

実際は、HIVという疾患は突然生活に支障をきたす病気ではありませんので、いきなり生活を変えたり、急に仕事を辞めたりする必要はありません。

ただし、職場で周囲に病気のことがわかってしまうのではないか?という不安や、服薬や通院を行うにあたって仕事に影響が出るのではないか?などといった不安を感じられる方は多くいらっしゃいます。

また、新しい仕事を探す時に、実際には通常の就職活動の他に、免疫機能障害で障害者認定された後であれば障害者枠で就職活動をするといったこともできます。

HIV陽性が判明したからといって、無理に将来設計を変更したり、大切にしていた夢を諦めたりする必要はありません。

様々な情報を得ながら、慌てずにじっくりと考えていきましょう。

1. 自身の健康状況と精神面をまずはチェックしよう。

仕事を行うにあたっては、まずは倒れないことが大事です。

無理のない働き方をするために、まずは健康面や精神面で心配に思うことを、通院している医療機関の医師や看護師、カウンセラーやソーシャルワーカーなどに相談してみましょう。

今は、同じくHIV陽性でありながら就職活動をしている方や働く者同士でのピアサポートの交流会なども活発に行われています。

地域はまだ限定されていますが、就労経験のある方との交流や、自身と同じような状況の方との交流が可能ですので利用してみてはいかがでしょうか?

複数の方とのコミュニケーションは苦手という方は、就労の事に詳しいNGOの専門相談員の方に個別に相談をするという方法もあります。

ひとりで悩むよりは、誰かと一緒に悩んだり、実際に働いている方の姿を見たりした方が、きっと気は楽になります。

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Futures Japan 第3回調査結果サマリー(概要)

2019年から20年に実施されたFutures Japan ~ HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第3回)の分析結果の概要です。
この調査結果から、HIV陽性者の方々が全体としてどんな状況にあるのか、どんなふうに変わってきているのかを知ることができます。

第1章「あなた自身のこと」(P.1~P.8)
性別・セクシュアリティ | HIV陽性者を対象としたアンケート調査の協力経験 | この調査をどこで知ったか | HIV 陽性であることを理由とした引越し | HIV陽性とわかったときの状況 | 現在の健康状態 | 婚姻・パートナー・同居者の状況など
https://survey.futures-japan.jp/doc/summary_3rd_all.pdf

冊子「第2回 HIV陽性者のためのウェブ調査 調査結果」

「Futures Japan ~ HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第2回)の分析結果をもとに、目で見てわかりやすく、利用しやすいツールとして作成された冊子。HIV陽性者の健康状態、通院、恋愛と性の健康、薬物使用、心の健康、社会のスティグマ、日常生活など幅広い。

第1章「あなた自身のこと」(P.4~P.7)
性別・セクシュアリティ | 年齢 | 居住地・婚姻状態・同居者・学歴 | HIV陽性者を対象としたアンケート調査の協力経験 | HIV陽性とわかったときの状況 | 就労とくらしむきなど
https://survey.futures-japan.jp/doc/Futures_2nd_page.pdf

ポジティブライン[HIV陽性者、パートナー、家族のための電話相談](ぷれいす東京)

0120-02-8341 (月~土 13:00-19:00 祝日除く)  厚生労働省委託事業
https://ptokyo.org/consult/plhiv_partners_families

就職活動サポートミーティング(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

就職活動をしている人、転職を考えている人、一般枠・障害者枠にかかわらず、自分の働き方について考えるミーティング。面接対策や職業訓練など役立つ情報を得ることもできる。

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[仕事・日常生活]

Q3:最近感染を知りました。日常生活を送ることに支障はないと言われたのですが、職場にはこのことを告げなくても良いのでしょうか。後になって告げなかった事を責められるようなことはないのでしょうか。(ぷれいす東京「HIV/エイズ よくある質問・みんなの回答集」)

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[仕事・日常生活]

Q5:通院のために会社を休みにくいのですが、みなさんはどうしてますか?(ぷれいす東京「HIV/エイズ よくある質問・みんなの回答集」)

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2.職場での不安については、まずは正しい情報を収集し、相談できる人を探してみよう。

現在の職場で、実際に病名を開示している方は少ないのではないかと思います。

また、健康保険の手続きや受診歴、年末調整などで病気のことがわかってしまうのではないかと思われている方がたくさんいらっしゃいます。

実際には、個人情報保護の観点からそういったことから周囲に病名が広まってしまうことは多くの職場ではありません。しかし、あってはいけないことなのですが、人数の少ない職場や、情報管理を正しく行っていない企業では、そういったことも過去に数例発生してしまっていることも事実です。

そういった時に早まって仕事を辞めてはいけないのですが、なにが正しいのか?どういった機関にサポートしてもらえるのか?などは、知識としてあらかじめ知っておくとより安心して過ごすことができます。

HIV陽性者の多くは仕事を続けていますので、陽性者同士で話すことのできる交流会などに参加してみるだけでも互いに参考になる情報を得られるときがあります。

また、各種資料も参考になります。

HIV陽性であることなどの情報については、自身が伝えたい人に適切に伝えればいいのです。周りに合わせて無理をする必要はありませんし、報告する義務はないのです。

親しい職場の同僚に伝えるか伝えないかで悩む場合もありますが、日常生活と同様に確実に信頼できるか?伝えても大丈夫な相手か?を軸に判断するといいと思います。

ただし、一般枠、もしくは病名をクローズして働いている場合には、伝えた後の責任をひとりで背負い込んでしまう場合がありますので、注意が必要です。

伝え方や働き方については、他の陽性者の経験を知ることが一番参考になりますので、積極的にソーシャルメディアや交流会などを活用してみましょう。

障害者枠を利用されている方の場合は、人事担当者や産業医など、社内の方に安心できる状況下で心配なことを相談していくことも可能です。

また、開示の範囲についても配慮してもらうことができますので、職場の上長や人事担当者に相談すると環境に合わせた判断をしやすくなります。

どのような働き方をしたとしても、基本的には情報漏えいはあってはならないので、なにがあってもご自身は悪くはありません。

ご自身がどのような不安を持っているかをまずは整理してから、相談できるところを探してみましょう。

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冊子「第2回 HIV陽性者のためのウェブ調査 調査結果」

「Futures Japan ~ HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第2回)の分析結果をもとに、目で見てわかりやすく、利用しやすいツールとして作成された冊子。HIV陽性者の健康状態、通院、恋愛と性の健康、薬物使用、心の健康、社会のスティグマ、日常生活など幅広い。

第7章「周囲の人々について」(P.32~P.39)
HIV陽性者であることを伝えること | HIVに関連した悩み事の相談相手 | 必要時に病院への付き添いや介助をしてくれる人 | HIVに関連するスティグマ | HIVに対する社会からのスティグマの感じ方 | HIVに対する社会からのスティグマにまつわる経験の多さ| HIVに対する社会からのスティグマによる行動の自主規制 | 地域ごとのスティグマの比較 | ゲイ・バイセクシャル・レズビアン・トランスジェンダーに対するスティグマについて | HIVに関連した差別・偏見を感じている人へのアドバイスやメッセージ | どうなったら陽性者の暮らしやすい社会になるか?
https://survey.futures-japan.jp/doc/Futures_2nd_page.pdf

「職場とHIV/エイズ―HIV治療のこの10 年の変化(2003→2013)」(2015年11月発行)

職場とHIV/エイズ全国のHIV陽性者1,469人名の声をもとに、職場に求められる対応を解説したパンフレット。A4版4ページにまとめられている。(ぷれいす東京 研究事業部)

詳しいリンク先はこちらから

職場とHIV/エイズハンドブック ~人事・労務・障害者雇用担当の皆様へ~(2013年3月発行)

企業の人事・労務や障害者雇用を担当者向けに、HIV/エイズの現状を正しく知ってもらい、働きやすい職場づくりの手助けとなるように作られたハンドブック。HIV陽性者の就労に関する体験談や、企業からのメッセージなども掲載。(編集・発行:東京都福祉保健局/編集協力・日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)

詳しい情報はこちら

職場とHIV/エイズハンドブック ~HIV陽性者とともに働くみなさまへ~(2014年3月発行)

職場とHIVエイズハンドブック企業で働く人にHIV/エイズの現状を正しく知ってもらい、職場でHIV陽性者への理解が深まり、誰にとっても働きやすい職場づくりが進むことを目的として作成されたハンドブック。人事・労務・障害者雇用担当者向けのハンドブックもある。(発行:東京都福祉保健局/編集協力・ぷれいす東京)

詳しい情報はこちら

第3回「HIV陽性者の健康と生活に関する実態調査」

A調査【ブロック拠点病院とACC調査】報告書
http://www.chiiki-shien.jp/image/pdf/atyousa.pdf
B調査【中核拠点病院等調査】報告書
http://www.chiiki-shien.jp/image/pdf/btyousa.pdf

3.転職・離職を考える時には一旦立ち止まってみよう。

HIVに限らないことですが、病気や障がいがあると、今の環境で働き続けていて大丈夫なのか?と考えてしまうことがあります。

そういった時には、体調面、精神面、環境面などから本当に辞める必要があるかどうかを主治医やNGOの相談員の方などに相談してみましょう。

場合によっては体調不良の場合でも、一旦休職という制度を利用し、元の職場に復職する手もあります。

また、社内での配置転換や業務内容の変更などにより、うまくいく場合もあります。

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「HIV陽性者の生活を知る」(Futures Japan 2016年12月発行)pdf

HIV陽性者の生活を知る「Futures Japan ~HIV陽性者のためのウェブ調査~(第1回)」の結果からいくつかのテーマを選んで、HIV陽性者の視点で読み解いて紹介した冊子。HIV陽性者の現状を身近なものとして感じたり、理解を深めたり、その周囲の環境・社会のありかたなどについて考えるうえで役立つ資料でもある。1 通院と医療環境/2 健康と生活習慣/3 暮らし・ライフプラン /4 HIV陽性者と子ども /5 人間関係・ネットワーク/6 メンタルヘルス からなる。

http://futures-japan.jp/admin/wp-content/uploads/Web_1p.pdf

7章 仕事・お金・将来設計(HIV陽性者の視点で読み解く長期療養時代)

HIV陽性者対象の調査結果をもとに、仕事や人生設計についての解説がされています。

詳しい情報はこちら

[告知直後によくある質問]

Q3:最近告知されたばかりです。このまま仕事を続けていけるのでしょうか? (ぷれいす東京「HIV/エイズ よくある質問・みんなの回答集」)

http://ptokyo.org/faq/Q/162

4.就職・転職の際に、働きやすい職場を探してみよう。

働き方を変える時には、より働きやすい職場を探してみてもいいのかもしれません。

就職・転職では、給与など待遇面のことや、勤務体制や通勤の距離などとともに、HIV陽性者の場合は定期通院や健康管理について考える時があります。

そういった時に、障害者枠を利用するという方法もありますので、一度資料を見てみてはいかがでしょうか。

通常、「一般枠」とは、健常者が受ける枠のことを言います(障害者でも、受けることは可能) 。

「障害者枠」とは、企業が障害者を雇用するために設けられた枠のことを言います。

国としても、「障害者雇用促進法」を制定し、障害者の雇用義務など障害者雇用対策を進めています。この法律では、法定雇用率というのが義務付けられており、2023年4月から一定規模以上の企業は2.7%以上、国や地方自治体は3.0%以上(ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、2023年度においては2.3%で据え置き、2024年度から2.5%、2025年度から2.7%と段階的に引き上げることとする)障害者を雇用し、またそれぞれの障害に対して働きやすい環境を整える義務があります。

この障害者枠は、以下の方が対象となります。

  • 知的障害者、精神障害者、身体障害者のいずれかにあてはまっている
  • 障害者手帳や療育手帳を持っている、あるいは就職するまでに持っていること

いずれかの障害認定をされており、手帳を持っている方が「障害者枠」の条件にあてはまります。HIV陽性者は免疫機能障害により障害者手帳を取得することができますので、ほとんどの方は上記に該当します。

東京以外の地域では免疫機能障害の手帳保有者が少ないため利用される方は少ないようですが、東京では10数年前から障害者枠を利用して就職する方が徐々に増えていますので、ハローワークや民間の障害者就労を支援している企業の方も対応に慣れつつあります。

就職活動においては、面接先の企業担当者が必ずしも免疫機能障害を知っている訳ではないので驚かれてしまったりすることもありますが、通院や健康管理を特に大切にしたい方にとっては、障害者雇用での就職は比較的メリットの高い制度ではありますので、視野に入れておくといいかもしれません。

病名開示の範囲や、勤務時間などについても、個別に対応してもらえる場合が多いと思います。

ただし、給与等は障害のある他の方との兼ね合いから低く設定されている場合があります。

条件などを比較しつつ、自分にとって過ごしやすい環境を探ってみてもいいのかもしれません。

求人内容については、ハローワーク、及び障害者の就職転職をサポートしている民間の就労支援企業のホームページなどから確認することができます。

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HIV/エイズ 関連ワード集:障害者雇用(障害者枠)

詳しい情報はこちら

ハローワークインターネットサービス – 障害のあるみなさまへ

ハローワークでは、障害者の皆様のために、専門の職員・相談員を配置し、ケースワーク方式により、求職申し込みから就職後のアフターケアーまで一貫した職業紹介、就業指導等を行っている。障害者に限定した求人のほか、一般の求人に応募することも可能である。

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障害者枠で働く陽性者の交流会(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

障害者枠で働いている人同士の交流会。さまざまな状況(特例子会社かどうかと、業種や職種、雇用形態、周囲への開示の方法など)で障害枠において働くHIV陽性者同士で情報などができる。

詳しい情報はこちら

 

5.困った時のサポートについて。

不安なことがあったり、困ったことがあった時には、NGOに相談したり、障害者枠での就労を希望する場合には、ハローワークや民間の就労支援企業も利用することができます。

NGOでは定期的に就職についてのセミナーなども開催されています。

女性陽性者の場合は、子育てや妊娠、出産などで働き方が変わる可能性がありますので、まずは交流会などで他の陽性女性の方のお話を伺ってみてもいいかもしれません。

女性陽性者の交流会は少ないですが、2018年現在、関西と関東で開催されています。

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就職支援セミナー(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

企業の人事やCSR(社会的責任)担当者が参加して、企業はどのような視点で求職者でを見ているのか話したり質疑応答をする。HIV陽性者で就職活動をしている人や、これから転職などを検討している人に役立つような機会として行われている。

http://web-nest.ptokyo.org/nest/pr18.html

介護職として働く陽性者の交流会(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

すでに介護や福祉の現場で働くHIV陽性者同士で仕事の悩みや将来のことなどを話したり、介護の仕事に興味がある方の参加も可能。

http://ptokyo.org/nest/careworkers

看護師として働く陽性者の交流会(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

HIVを持ちながら看護師として働くなかで、疑問に思っていたり不安に思っていることについて、同じ立場の人同士で集まるミ会。 看護師だけではなく、医療現場で働く他の有資格者参加もできる。

http://ptokyo.org/nest/nurses

ピア+トーク (ぷれいす東京・ネスト・プログラム)

さまざまな経験をもつHIV陽性者を迎えて話しを聞くイベント。出産経験者、 障害枠で就職した人、キャリチェンジした人、薬物依存からの回復経験者など。

http://web-nest.ptokyo.org/nest/p19.html