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妊娠・出産を考えている人へ
2023年4月更新
子どもをもうけ、妊娠・出産、子育てをしたいと思っているHIV陽性者は、けっして少なくないのではないでしょうか。
HIV陽性であってもなくても、いまの時代に子どもを持つことに躊躇をする人はいるでしょうし、はじめての出産や子育てに不安を感じる人は多いでしょう。さらに、HIV陽性であることで配慮を必要とすることも加わります。それでも子どもを生み育てることに価値をおき実践している人たちが日本にもたくさんいます。
まずは情報を整理したり体験に触れたりして、ご自分(自分たち)の可能性を検討してみてはいかがでしょう。
1.妊娠・出産をしたHIV陽性者の体験に触れてみよう
HIV陽性者が、子どもをもうけ、妊娠・出産、子育てをしたいと考えた場合に、周囲の人たちの理解がどこまで必要なのか、実家やパートナーの実家にHIVについて言うのか言わないのか、子育てをするうえで考えておかなければならないことはあるのかなど、医学的なことだけではない広い範囲のリアルな情報があると安心です。
一般的な妊娠・出産、子育ての情報はインターネット上にもあふれていますし、同じ立場の人同士(例えば、妊婦同士、妊婦のパートナー同士)が実際に出会って情報交換や交流をする機会もたくさんあります。
しかし、HIV陽性者で同じような経験をしている人(しようと思っている人)同士が、情報交換や交流をする機会は決して多くはありません。だからこそ、情報や経験の共有の場であるミーティングは貴重です。全国にあるわけでありませんが、そういった機会を有効に活用してみるのも良いでしょう。
また、印刷物やインターネット上で体験談を読んでみるところから始めることもできます。それぞれの状況や価値観なども異なるため、書いた人の経験がそのままご自分にあてはまるというわけではありませんが、かけがえのない体験からは、きっと何らかのヒントが得られることでしょう。
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Living with HIV 身近な人からHIV陽性と伝えられたあなたへ
HIV陽性のパートナー、家族、友だち、職場の仲間とHIV陽性者による計24編の手記と、基礎知識やデータを取りまとめたコラムで構成されている。(制作:ぷれいす東京)
第7章「人生設計や将来のこと」
http://lwh.ptokyo.org/
Futures Japan 第3回調査結果サマリー(概要)
2019年から20年に実施されたFutures Japan ~ HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第3回)の分析結果の概要です。
この調査結果から、HIV陽性者の方々が全体としてどんな状況にあるのか、どんなふうに変わってきているのかを知ることができます。
第6章「子どもを持つことについて」(P.55~P.63)
子どもの有無 | 子どもを持った時期,苦労したこと | 子どもを持つことに関して役立ったサポートや情報,必要としているサポートや情報 |
子どもを持つ方法の認知,子どもを持つことの希望,子どもを持つことをあきらめた経験
https://survey.futures-japan.jp/doc/summary_3rd_all.pdf
冊子「第2回 HIV陽性者のためのウェブ調査 調査結果」
「Futures Japan ~
HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第2回)の分析結果をもとに、目で見てわかりやすく、利用しやすいツールとして作成された冊子。HIV陽性者の健康状態、通院、恋愛と性の健康、薬物使用、心の健康、社会のスティグマ、日常生活など幅広い。
第6章「子どもを持つことについて」(P.29~P.39)
子どもの有無 | 子どもを持つことによる変化など
https://survey.futures-japan.jp/doc/Futures_2nd_page.pdf
「グラフで見る Futures Japan 調査結果(第1回)」(2015年3月発行)
「Futures Japan ~ HIV陽性者のためのウェブ調査~」(第1回)の分析結果をもとに、目で見てわかりやすく、利用しや
すいツールとして作成された冊子。HIV陽性者の生活、通院、セックス、アディクション(依存)、メンタルヘルス、人間関係など幅広い。
第5章「暮らし・仕事・ライフプラン」(P.20 「子ども」など)
http://survey.futures-japan.jp/doc/Futures_page_v2.pdf
「HIV陽性者の生活を知る」(Futures Japan 2016年12月発行)
「Futures Japan
~HIV陽性者のためのウェブ調査~(第1回)」の結果からいくつかのテーマを選んで、HIV陽性者の視点で読み解いて紹介した冊子。1
通院と医療環境/2 健康と生活習慣/3 暮らし・ライフプラン
/4 HIV陽性者と子ども /5 人間関係・ネットワーク/6 メンタルヘルス からなる。
P.18 第4章「HIV陽性者と子ども」参照
「たんぽぽ」(2022年3月 東京都発行)
HIV陽性告知を受けたばかりの人のための冊子。HIVの基礎知識、福祉制度、社会生活、プライバシー、セックス、子どもをもうけて子育てをすることについてなど幅広く取り上げられられている。さまざまなHIV陽性者の手記も掲載。(制作協力:ぷれいす東京/編集・発行:東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/koho/kansen.files/tanpopo.pdf
[女性陽性者の質問]
Q1:妊娠中の検査でHIV+と言われました。おなかの子どもはどうなってしまうのでしょうか?(ぷれいす東京「HIV/エイズ
よくある質問・みんなの回答集」)
妊娠・出産経験のある女性陽性者数名が自分の体験をもとに書いアンサーと、ぷれいす東京の相談員によるアンサーが掲載されている。
http://www.ptokyo.org/faq/Q/256
異性愛者のための交流ミーティング(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)
出会うことが難しい異性愛のHIV陽性者同士のための交流ミーティング。性別、年齢を問わない。基本的に毎月第3金曜の夜に行っている。
http://www.ptokyo.org/nest/hetero
Women’s Salon(ぷれいす東京・ネスト・プログラム)
女性HIV陽性者同士が安心して情報交換や交流ができるような機会として、ゲストを招いたり、お茶を飲みながらフリートークをしたりする。
http://www.ptokyo.org/nest/womenssalon
ピア+トーク (ぷれいす東京・ネスト・プログラム)
さまざまな経験をもつHIV陽性者を迎えて話しを聞くイベント。出産経験者、
障害枠で就職した人、キャリチェンジした人、薬物依存からの回復経験者など。
http://www.ptokyo.org/nest/peerplus
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子どもをつくる
妊娠・出産・子育て
女性
ヘテロセクシュアル(異性愛)男性
2.子どもをつくることについて考えてみる
女性がHIV陽性の場合
自然妊娠(性行為による妊娠)を望む場合、抗HIV薬の服薬によってウイルス量を下げ感染リスクを減らすことが可能ですが、リスクがゼロになるわけではありません。パートナーと十分に話し合うと良いでしょう。
一部の医療機関では、人工授精を実施しています。人工授精と体外受精を混同している人もいますが、まったく異なるものです。人工授精は、男性の精液を採取してカテーテルという細い管を使って子宮に直接注入する方法のことですので、パートナーへの感染リスクはありません。(※体外受精は、女性の体内にある卵子を体外に取り出して、精子と受精させ培養してある程度まで細胞の数が増えた段階で体内に戻す方法。)
人工授精という選択肢もありますし、お互いに話し合ったうえで、ある程度のリスクを受け入れて自然妊娠をしている場合もあります。HIVの服薬治療と妊娠の兼ね合いなどもあるため、本来は事前にHIVの専門医に相談をすると良いでしょう。
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「女性のためのQ&A 貴女らしく明日を生きるために」
女性HIV陽性者向けに、日常生活だけでなく妊娠・出産・育児に関する注意すべきポイントや福祉制度・サポート情報などもまとめられている。(編集発行:平成26年度厚労科研「HIV母子感染の疫学調査と予防対策および女性・小児感染者支援に関する研究」班
)
P.16 [Q10:妊娠・出産はできるでしょうか?] 参照
http://api-net.jfap.or.jp/library/guideLine/boshi/images/2015_patient.pdf
「HIV陽性者が子どもを持つこと」(2020年10月発行)
JaNP+ニュースレターの記事。HIV陽性者が子どもを持つことについて、HIV感染と妊娠のタイミングによって整理し、現在日本ではどのような妊娠方法があるのかをわかりやすく解説している。4ページから。
男性がHIV陽性の場合
男性がHIV陽性の場合、女性のパートナーへの感染を防ぎながら子どもをつくるために、採取した精液内のHIVを分離除去したうえで体外受精をする方法が、技術的に確立されています。女性の身体の中にある卵子をいったん体外に取り出して、男性の精液を洗浄してHIVを取り除き、精子のみにしてから卵子と受精させ、そのまま体外で培養して、ある程度まで細胞の数が増えた段階で、女性の身体の中に戻すという方法です。
しかし、もともと人工授精にくらべて体外受精は肉体的にも経済的にも負担が大きいものです。HIVの治療薬により継続的にウイルス量検出限界未満を保っている男性であれば、自然経過により排卵日を狙って授精を試みる方法でも感染リスクはきわめて低いとも言われます。まずは、HIVの専門医に相談をしてみることで活路が見いだされるかもしれません。
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「HIV陽性者が子どもを持つこと」(2020年10月発行)
JaNP+ニュースレターの記事。HIV陽性者が子どもを持つことについて、HIV感染と妊娠Pのタイミングによって整理し、現在日本ではどのような妊娠方法があるのかをわかりやすく解説している。4ページから。
荻窪病院 よくあるご質問 「HIV感染の方の体外受精に関して」
精液からのHIV除去方法や体外受精についての説明が分かりやすく書かれており、情報整理をする際の参考となる。
https://www.ogikubo-hospital.or.jp/department/blood/blood_faq/
3.日本では母子感染が少なくなっている
母子感染については、1990年代以前の古い情報や、開発途上国での医療環境が整っていない状況を前提とした情報が混在していることがあります。そのため、勘違いをして理解している場合もあり、最初から子どもを産むことをあきらめてしまっているケースもあります。どのような状況のもとで、どのような立場の人が、いつ情報発信しているのかといったことに注意して情報収集すると良いでしょう。
しかし、どの医療機関でも同じようにHIVの最新情報や、HIV陽性の妊婦の出産経験を豊富に持っているわけではありません。ある程度の情報を収集して、より良い医療を選択ができるようにしましょう。そのためにNGOや保健所などに相談窓口を利用することもできます。
また、妊娠中の検査でHIV陽性とわかった場合にも、産婦人科医だけでなく、なるべく早い段階でHIVの専門医を受診することが重要です。
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「HIV陽性者が子どもを持つこと」(2020年10月発行)
JaNP+ニュースレターの記事。HIV陽性者が子どもを持つことについて、HIV感染と妊娠のタイミングによって整理し、現在日本ではどのような妊娠方法があるのかをわかりやすく解説している。4ページから。
[女性陽性者の質問]
Q1:妊娠中の検査でHIV+と言われました。おなかの子どもはどうなってしまうのでしょうか?(ぷれいす東京「HIV/エイズ
よくある質問・みんなの回答集」)
妊娠・出産経験のある女性陽性者数名が自分の体験をもとに書いアンサーと、ぷれいす東京の相談員によるアンサーが掲載されている。
http://www.ptokyo.org/faq/Q/256
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